スペキュロス的食メモ

”食べること”に興味あり。食から季節や文化を感じながら暮らしたい。

30年来変わらず 「志る幸」

息子の就職先が京都に決まり、それに関する雑事で一泊二日で京都へ。
近年、奈良には仏像を見に行ったりと何度か行っているが、京都は息子が小学生の時に一緒に行ったきり。本当に久しぶりだった。
雑事を済ませ、河原町で夕食。
「田ごと」か「志る幸」と決めていた。

「田ごと」
NHK大河ドラマ花の乱」で御所とか金閣銀閣寺に興味を持った息子を連れ、両親と京都へ行った時、夕食をとったお店。
父が、「こういうところで美味しいものが食べられるんだなぁ。若い頃はつっぱって高級な店じゃなきゃと思っていたが…」と言っていた薄味の京のおばんざいがたっぷりと頂けるお店だった。
いまでは高級割烹のお店になっている。支店がいくつもあり支店ではかつてのおばんざいが頂けるようであるが、ちょっと怖いもの見たさで高級割烹の本店へ行ってみたい。

「志る幸」
それよりさらに若かりし頃、京の和菓子探訪と勝手にテーマをつくり、京都へ一人旅をしたことがある。今と違って、女性の一人旅は宿を探すのも、食事をとるのも骨が折れたし、気を使った。お昼もそこそこに和菓子屋さんを歩き回り、夕食で入ったお店が「志る幸」だった。といってもお店の名前は憶えていなかった。扇面の型抜きをした炊き込み御飯とそのまわりに少しずつおかずが京都らしくきれいに並べられていたこと、神棚の祭ってある部屋のお帳場に女将が座り、それに向かい合って食べたこと、飲み屋街だったことは憶えていた。扇面の型抜き炊き込み御飯の画像検索から、「志る幸」というお店が浮上した。

という情報は伝えず、息子に二者択一を任せる。
「志る幸」へ。
大当たり。あの時のお店だった。
お店の中も、お料理もあの時のまま。




利休弁当
例によってちょっと食べてしまってから撮影。


京生麩
あの時より大人になったので“京生麩”と“穴子の天ぷら”の一品料理を追加

そうそうあの時も白味噌のおみそ汁に感激した。
20代の私が一人旅で食べた京のおばんざい。
異文化の食体験だったのだ。
帰宅後、この扇面御飯のお弁当-利休弁当という-を再現して家族に披露。
祖母がとても喜んで食べていたのを思い出す。

今の私にはおかずの味が濃く感じるが、お店も料理も変わっていないことにただただ感動した。