初物 枇杷
COOPから今季初物の枇杷が届く。
枇杷は毎年、初物を一回食べることにしている。
入院していた時のことを忘れないためだ。
術後、逆流性食道炎を併発し、
あの時はそもそも起き上がることも出来ず、
完全看護の名のもと、付き添いもなく、
何も食べることが出来なかった。
バターロールは小さく小さくちぎって小鳥がついばむように食べた。
びわも似たようなものだった。
びわで命をつないでいると、「ちょっと何食べてるの!!検査があるのに何やってるのよ!!」とナースが物凄い剣幕。
検査があるというのは彼女の勘違い。
脳神経外科は重病人がいっぱいで亡くなる人も結構いる。
人手不足気味のナース。
気が強く、殺気立っている人が多かった。
「お客ウ~⤴ 誰がお客なのよッ!!」なんて言うナースの声が向かいの部屋から聞こえてくることも…
ベッドという檻に点滴という鎖でつながれて私は精神的にボロボロになった。
ゲシュタポに引っ張られたら真っ先に死ぬタイプだ。
引きこもり気味とはいえ、日常生活が送れる今の有難さを忘れがち。
不満のあぶくがついぶくぶくと…
だから枇杷をしみじみと食す。
こんなアングルで撮る気になるくらい元気になった。
私が絵を描くとしたら枇杷のこの表情を生かしたい。
植物が結実する部分をアップにすると結構ドキドキする。
花だって中心部をアップにするときれい!なんて言ってられない。
強烈である。
日本画・油画で古典的な感じでいくならこんなふうですか。
テーブルに写った枇杷も大事にしたい。